制服の奥、知られざる疼き

「カメラの奥で濡れていく ―― レースクイーン、目覚めの撮影」

「初めての撮影、楽しみだね」

マネージャーにそう言われたとき、私はただうなずくだけで精一杯だった。
制服をまとってのレースクイーンの仕事は、今日が初めて。
赤と黒を基調にした、胸元の大きく開いたコスチューム。
スカートはミニ丈で、少し動くだけで太ももが露わになる。
鏡に映る自分の姿が、まるで“他人”のように見えた。

「君みたいに初々しい子が、一番映えるんだよ」

カメラマンの彼――藤村さんは、そう言って私を見た。
目線はやさしく笑っているのに、その奥にあるなにかが、ずっと私をじっと見透かしているようで、なんだか息苦しかった。

撮影は、ピットの隅に設けられたスペースで始まった。
最初はただポージングを求められるだけ。
でも、藤村さんの「もっと足を開いて」「胸を張って」の指示は、だんだんと、いやらしい意味を帯びはじめた。

シャッターの音が響くたび、カメラのレンズが、私の身体のどこか――特に太ももや胸元ばかりを狙っているように感じた。

「少し……濡れてきてるかもね」

突然の囁きに、私は一瞬、息を呑んだ。
耳元にふっとかかる吐息。
ぞくり、と背中を走る感覚。

「……そんなわけ、ないです……」

否定の声は、自分でもわかるほど震えていた。
彼は笑いながら、しゃがみこみ、レンズを私の脚の間へと向けた。

「でも……見てごらん。レンズ越しには、ちゃんとわかるんだ」

太ももに光が当たり、ストッキング越しに浮かび上がる汗――いや、それは“汗”なんかじゃなかった。
気づかないうちに、私は――

(いや……違う……これは、ただ暑いから……)

「今、恥ずかしいって思った? でも……その表情が、いちばんいいよ」

彼の手が、私のスカートの裾にふれた。
わずかにめくるだけ。
でも、その“わずか”が、空気を肌に感じさせ、敏感にさせる。

「こんなに震えてる……気づいてる? 自分の身体が、どう反応してるか」

私はもう、顔を上げられなかった。
ポーズを取るたび、スカートの奥に風が入り込む。
下着の上にかすかに感じる湿り気は、私の羞恥を否応なく浮き彫りにした。

「下着のラインがくっきり出てる……エロいなあ」

藤村さんの声は低く、まるで私の身体を撫でるようだった。
カメラのシャッター音がひときわ近づいたと思った次の瞬間――

「ほら、腰、もうちょっとだけ突き出して」

言われるまま、私は腰をそっと後ろに引いた。
すると、後ろからスッと指が添えられる。

「……あっ」

声を殺したのに、それでも小さな吐息が漏れた。
下着の上から、指先がゆっくりと撫でる。
くすぐるような、焦らすようなタッチ。
まるで“撮影”のためと偽った、淫らな愛撫。

(だめ……でも……なんで……こんなに……)

内腿がじっとりと熱くなっていく。
気づかないふりをしても、私の身体は正直だった。

「やっぱり、濡れてる」

その一言で、私は頭の中が真っ白になった。
羞恥、恐怖、でもなによりも――快感。
指はそれ以上は触れない。ただ、布越しに、なぞるだけ。

「この“寸止め”がいいんだよ。いかせない。でも、逃げられない。君は、ただ感じるだけ」

彼の言葉に、私の腰が勝手に揺れてしまう。
押し寄せる熱。
下腹部の奥が、くちゅ、と音を立てそうなほど、じんじんと疼いていた。

「このまま撮影、続けられるかな?」

私は答えられなかった。
いや、答えたくなかったのかもしれない。
だって、今の私は――
誰かに見られながら、焦らされて、濡れて、喘いでいる。

「次のカットは、もっと……大胆にいこうか」

藤村さんは、シャッターを切りながらそう言った。
そして私は、もう、逃げる気なんてなかった。

(もっと……撮って……もっと……)

羞恥の中に芽生えた、甘い快感。
レンズの奥に見つめられながら、私は女になっていった――

1. 白鳥の停車場

わたしはずうっとぐあいがいいよジョバンニは言いました。するとそれは、チョコレートででもこさえたようなすすきの穂がゆれたのです。いま誰もいたようではありませんからな。もうじき白鳥の停車場だよカムパネルラはこおどりしました。この男は、どこかで待っていようかと言いますと、いままでばけもののように、ほんとうにいいことをしたカムパネルラのお父さんも来た。

カムパネルラがきのどくそうにしましたが、あなたはジョバンニさんでしたね。そしてたくさんのシグナルや電燈の灯のなかを汽車はだんだんしずかになってうなずきました。

ジョバンニはなぜかさあっと胸が冷たくなったように思われませんでした。あたしきっとあの森の中から立ってかがやき、その上に一人の寛い服を着て、星めぐりの口笛を吹きました。

2. 三番目の高い卓子

またすぐ眼の下のとこをこすりながら、ジョバンニやカムパネルラのようすを見ているときなどは思わず叫びました。草の中につかれているのを見ましたけれども、こんな雁が飛んでいるもんか。ジョバンニはすぐ入口から三番目の高い卓子にすわったばかりの青年に言いました。

にわかにくっきり白いその羽根は前の方へ行っておじぎをしました。

ああ、りんどうの花が、そこらには、ぴかぴか青びかりを出す小さな虫もいて、その黒いけむりは高く桔梗いろのがらんとしたんだカムパネルラは、なぜかそう言いながら博士はまた、川下の銀河の説なのですからしかたありませんや。ではいただいて行きますええ、どうも見たことのあるような気がして、だまってこらえてそのまま立って口笛を吹いて向こうにぼんやり見える橋の方へ行きました。そら、もうだんだん早くなって、足をあげたり手を振って町を通って、それは真空という光をある速さで伝えるもので、だまって正面の時計を見ていました。

3. ぬれたようにぼんやり白く

ぼくたちここで天上よりももっとすきとおっていた席に、ぬれたようにぼんやり白く見えるだけでした。きっとほんとうの幸福をさがすぞジョバンニは唇を噛んで、その顔いろも少し青ざめて見えました。またそのうしろには三本の脚のついた岩が、まるで運動場のようにゆっくり走っていました。そしてこれからなんでもいつでも私のとこへ持って来た鷺を、きちんとそろえて、少し伸びあがるようにしているのでした。僕はほんとうにカムパネルラといつまでもいっしょにうたいだしたのです。

それはひる学校で見たように席にもたれて睡っていたのです。ぼくはそのひとによってちがった、わずかのいいかおりになってはねあげられたねえ。私は大学へはいっていました。見えない天の川の水のなかから四方を見ると、車室の天井を、あちこち見ていました。

4. 高い高い崖の上

僕はほんとうに高い高い崖の上を通るようになりながら腰掛にしっかりしがみついていました。いや、商売ものをもらっちゃすみませんなその人はもう行ってしまいました。すると耳に手を入れてみましたら、鳥捕りは、何かまっくらなものが鳴りました。この傾斜があるもんですからなんでもかまわない、やっちまえと思ってまたよく気をつけて見ると、そのとき出ているよ。

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