第6話:一枚の名刺と濡れた記憶 契約の前に ―指先に堕ちて―堕ちた身体、濡れた結末」
──もう、誰にも見せられない身体になってしまった。
そんな予感は、美羽の中でゆっくりと確信へと変わっていた。
この数週間、権田との打ち合わせのたびに、身体は少しずつ熱を覚え、そして……自分でも信じられないほどの快感に慣らされてきた。
「今日で、最終確認をしよう」
そう告げられたのは、いつもの打ち合わせ室。 けれど、空気はいつもよりぴりりと濃く、肌を刺すような緊張が走っていた。
(最終……確認)
契約書の下に、もう一つの“密約”があることを、美羽はもう理解していた。
「白石さん、今日で全部、見せてくれるよね?」
そう言って、権田はすでにネクタイを緩めていた。
「ほら、こっちへおいで」
言葉に逆らえない。 けれど、それが恐怖ではなく、むしろ“待っていた”ように脚が勝手に動くことが、いちばん怖い。
スーツのジャケットを脱がされ、ボタンを外されたブラウスの下―― 権田の指が、ためらいもなく、美羽の胸元に滑り込む。
「最初は触れるだけで、びくっとしてたのに……今はもう、自分から押しつけてくる」
「ち、ちが……っ、う……」
「本当のこと言ってごらん。ここ……どんなふうに、感じてる?」
乳首の先を、まるで筆でなぞるように、くすぐる指。 敏感になりきった乳房は、もう触れられただけで熱を帯び、呼吸すら乱れていく。
「だめっ……そんなに、撫でないで……っ」
「でも、身体は喜んでる」
「ねぇ、指、離しても……乳首、もう立ったままだよ?」
「っ……ああ……っ……」
股間はすでに、ショーツを通してぬめりを感じるほどに湿っていた。 その感覚を悟られまいと、美羽は太ももをぎゅっと閉じる。
「閉じちゃダメだよ。開いて、俺の指、受け入れて」
強制ではなかった。 でも、その言葉が一番、抗えない。
ゆっくりと、脚が開いていく。
「こんなに濡れて……仕上がってるじゃないか」
ショーツの中に滑り込む権田の指先。 ひと撫でされるだけで、全身が跳ねる。
「もう……やだ……いっちゃいそう……っ」
「焦らされたの、ずっと覚えてるよな。今日は……寸止め、しないでやる」
指先が、奥へ奥へと侵入し、秘部の中心をゆっくりと愛撫する。 くちゅ、くちゅと音を立てながら、膣内を撫で回される快感。
「ほら、美羽。腰がもう、俺の指を締めてる」
「ちがっ……ちがうの……」
「自分で求めてるんだよ」
「じゃあ、どうして、舌を出してる? 乳首を、自分で撫でてる?」
知らないうちに、胸元に自分の手が伸びていた。
「もう、俺のこと、拒めない身体になったな」
「や……ん……っ……もう、いや……っ」
「本当は、“もっと”してほしいんじゃないの?」
顔を覆いたくなるほどの羞恥。 でも身体は、快感の波に支配されていた。
「イクのも、俺が許すまで」
権田の指は、絶妙なペースで中をなぞり、時に止まり、時に浅く引き抜かれる。
「……っ、やっ……も、無理……っ」
「まだ。イくな。もうちょっと、我慢して」
何度も、寸止め。 そのたびに、涙が滲み、腰が引きつる。
「どう? 俺の指、好きになった?」
「……だめ……だめ……っ……好きなんて、言いたくない……のに……っ」
「じゃあ身体で答えて。ほら、もう一回……入れてほしい?」
無意識に、脚が大きく開いていた。
「すごいな……完璧に、開発されちゃったな」
そして――その瞬間。
「いくよ。最後まで、全部……俺のものにする」
権田の指が、奥の奥まで挿し込まれ、 乳首を同時に擦られた瞬間、美羽の身体は大きく弾けた。
「んんっ……あああっ……!」
全身が震え、頭の中が真っ白になる。
「契約、完了だな」
「これで……白石さんは、完全に“俺のもの”だ」
まだ絶頂の余韻に喘ぐ美羽に、権田は耳元で囁いた。
「この身体は……もう元には戻れないよ。何度も、俺に思い出させられる」
美羽は、うなずくしかできなかった。 快楽と羞恥に濡れきった身体が、それを否応なく証明していた。
──こうして、美羽と権田の“密約”は、肉体に刻まれたまま、静かに締結された。
彼女の中に残るのは、紙の契約書ではなく、 快感と快楽の記憶だけだった。

