第4話 満員電車での恥ずかしい記憶|「胸も奥も、焦らされて」
春の通勤ラッシュは、容赦なくひかりを飲み込んでいく。
今日も満員の電車。
でも、昨日までと違うのは、下村の手の動きが、もう“迷い”を見せないことだった。
電車がホームに滑り込んだとき。
すでにひかりの腰には、下村の手が添えられていた。
まるで当然のように、肌の上からゆっくりと滑る。
「……っ」
それだけで、ひかりの喉が詰まりそうになる。
混雑の中、誰にも気づかれず── いや、気づかれないと信じたくて、彼女はただ前を向いて立ち尽くす。
(今日も……また……)
けれど、今日は違った。
下着の中へと侵入してきた指だけではなく、
彼のもう一方の手が、背後から、そっと彼女のブラウスの前をなぞっていた。
(うそ……胸まで……)
おふぃーすカジュアルな柔らかいシャツ地の下、
ブラの上からなぞられる乳房。
生地越しとは思えないほど、指先が熱を帯びていた。
乳首の位置を探り当てたかのように、指が円を描く。
「っ……だめ……」
声にできない吐息が唇から漏れる。
脚を閉じても、胸を逸らしても、
下村の手はぴたりとついて離れない。
(誰かに見られたら……でも……)
混雑で動けない。 逃げられない。
なのに、身体は──
乳首が、指先の焦らしに反応し、硬く尖りはじめていた。
(気持ちよく……なんて、なってない……)
自分に言い聞かせる。 でも、下着の奥では、濡れた証拠が確かに下村の指に伝わっていた。
駅に停まるたび、ピタリと止まる指。
(また……焦らして……)
そして、再び電車が動き出すと、
今度は上下の同時攻め。
乳首を転がすように撫でながら、 クリトリスのすぐ脇を、ぎりぎりで触れない。
(……おかしくなっちゃう……)
じわじわと熱がたまる。
ひかりの身体は、まるで自分の意思と無関係に、
快感の“深み”へと引きずり込まれていく。
脚がもじもじと震える。 膝が擦れるたびに、スカートの中で下着が肌に貼りつく。
(……濡れてる……)
はっきりと、自覚してしまった。
それでも、指は触れない。
焦らすように、包むように。
そして、乳首だけは執拗に──
くりくりと、転がし続ける。
(お願い……もう、やめて……っ)
けれど、声には出せない。 出した瞬間、すべてが壊れてしまう気がした。
(……これが、されるがままって……ことなの……?)
羞恥に頬が染まり、喉の奥でかすれる息が震える。
「……っ、ん……っ」
声にならない喘ぎ。
そして──下村の指が、濡れた中心に……一瞬だけ、触れた。
ピクン、と身体が跳ねた。
(触れられただけ、なのに……)
そこから、また寸止め。 また乳首だけを執拗に攻める。
ひかりは、全身が火照りと羞恥で満たされ、
下村の焦らしの術に、完全に“溺れて”いく。


