催眠接客 ― 恥じらいと快感の制服の中で ―

「愛理ちゃん、ちょっと時間ある?」
昼過ぎのバックヤード。
小さな換気扇が回る音と、遠くの売り場のBGMがかすかに混ざって聞こえる。
シフトの切れ間、制服のまま作業台を拭いていた愛理は、店長に声をかけられた。
少し汗を感じる首元を手で押さえながら、顔を向ける。
「はい、なんですか?」
「この前話してたやつ、覚えてる? 集中するときの呼吸法。試してみない?」
仕事の話らしい。
愛理は軽く頷き、「はい」と返事をして椅子に腰を下ろした。
店長は向かいに立ち、にこやかな目でこちらを見下ろしている。
その視線はやさしいのに、どこかでじっと観察されているような、妙な緊張を覚える。
「じゃあ……目を閉じてみようか」
促されるまま、愛理はまぶたを閉じた。
まぶたの裏がほんのりと赤く、遠くの照明の光が透けて見える。
少しだけ緊張して背筋が伸びる。
「呼吸はゆっくり……そう、鼻から吸って、口から細く吐く。……いいね」
耳元に届く声は低く、落ち着いていて、どこか包み込むようだった。
ただ呼吸を合わせているだけなのに、声が近くにあるだけで心臓の鼓動が少し早くなる。
「肩の力を抜いて……首も。……そう、うなじまで、すっと楽に」
言葉どおりに意識を向けると、首筋にひやりとした空気が触れる。
店長が少し近づいたのだろう。
その距離感に、無意識のうちに呼吸が浅くなった。
「……手、少し前に出してみて。はい、そのまま……」
差し出した両手を、店長の手がそっと包む。
指先に、体温とわずかな重み。
仕事の指導で触れられるのとは違う、長く留まる触れ方だった。
皮膚に伝わる脈動や温もりが、指から手首、前腕、肩口へとじわじわ広がっていく。
「どう? 手の中があたたかくなってきたでしょ」
「あ……はい……」
声を出すと、自分の呼吸が妙に近くで響いて聞こえる。
呼吸の音すら、店長に全部聞かれているような感覚があった。
「じゃあ……胸のあたりにも意識を向けて」
胸、と言われ、愛理はわずかにためらう。
だが、すぐに「呼吸を感じるだけだから」という声が続き、素直に従った。
次の瞬間、制服の胸元に軽く手が置かれる。
押されるでも、揉まれるでもない。
呼吸の上下を感じ取るような、静かな置き方。
(……ただ触れてるだけ……なのに)
その掌のあたたかさが、なぜか胸の奥まで入り込んでくるようだった。
深く息を吸うと、胸がわずかに押し返し、そのたびに手のひらの存在を強く意識する。
「呼吸……ちょっと早くなったかな」
耳元で囁かれると、返事が詰まる。
意識していなかったのに、本当に息が浅くなっていた。
「そのまま……肩から背中まで、全部力を抜いて」
背もたれに預けた瞬間、背中と椅子の間にできた隙間を、店長の指がゆっくりとなぞる。
脊髄に沿って上から下へ――ただそれだけなのに、全身に小さな波紋が広がった。
背中を通る感覚が、腰骨のあたりまで降りてくるのを感じる。
軽く首を傾けさせられ、耳のすぐ後ろに吐息が触れる。
わずかな空気の動きなのに、肌が粟立ち、膝が勝手に寄り合う。
「……愛理ちゃん、今……何を感じてる?」
返事ができなかった。
ただ、触れられている場所がどんどん熱くなり、意識のほとんどを占めていく。
ついさっきまで、ただの呼吸法だったはずなのに。
気づけば、腰のあたりにも店長の手が触れていた。
太ももの外側を、膝のほうへ、また腰のほうへ――ゆっくり往復する。
まだ核心には届かないのに、その軌跡だけで体温が急に上がる。
やがて手は太ももの内側へと移動し、膝のすぐ上をゆっくりとなぞる。
柔らかい肌がわずかに震える。
胸に置かれたもう一方の手は動き出し、制服の隙間から入り込み、ブラの縁をくすぐる。
やがて布の中へ潜り込み、直接乳首へ触れた。
「あっ……」
冷たさと熱が同時に走り、乳首がぴくんと硬くなる。
その瞬間、太ももを撫でていた手が下着の中へ入り込む。
ぬるりとした感触が絡みつき、指がゆっくりと外側をなぞった。
胸では乳首を軽く転がし、下では敏感な場所を避けて外を撫でる。
直接触れない寸止めが何度も繰り返され、身体が熱を持て余していく。
「……っ……ん……」
声をこらえても、濡れた音が隠せない。
胸と脚、同じリズムで弄られ、二つの快感が絡み合う。
寸前で触れられそうになるたび、腰が反射的に揺れる。
やがて店長の指が、核心を捉え――乳首を摘まむのと同時に押し当てる。
「あ……ああっ……っ!」
全身が跳ね、ひとつ目の波が駆け抜けた。
胸も下も同時に脈打ち、力が抜けて椅子に沈み込む。
呼吸を整える間もなく、胸の乳首は摘ままれたまま転がされ、下着の中の指は外をなぞり続ける。
敏感さが残るまま、再び熱が蘇っていく。
「……もう、限界みたいだ」
囁きと同時に、指が中心をなぞり上げる。
乳首と同じリズムで擦られ、二つ目の波が一気に押し寄せる。
「あぁ……っ……!」
二度目は短くも濃く、意識を奪うような深さだった。
余韻に沈みながらも、愛理の身体はまだ小さく痙攣を繰り返している。
店長の手は離れない。
胸と下、両方に置かれたまま、またゆっくりと動き出す。
敏感になりすぎた乳首を摘ままれ、下では奥へと指が沈む。
同じリズムで刺激され、快感が再び大きな渦となって迫る。
「……いいよ、そのまま」
その言葉に、最後の抵抗がほどけた。
三度目の波は長く、深く、全身を包み込む。
視界が白く霞み、声も身体も、ただ波にさらわれていった。
やがて静まった時、愛理は椅子に沈み、胸と脚に残る手の温もりだけを感じていた。
もう、自分が完全にこの人に委ねられてしまったことを、疑う余地はなかった――。
1. 白鳥の停車場
わたしはずうっとぐあいがいいよジョバンニは言いました。するとそれは、チョコレートででもこさえたようなすすきの穂がゆれたのです。いま誰もいたようではありませんからな。もうじき白鳥の停車場だよカムパネルラはこおどりしました。この男は、どこかで待っていようかと言いますと、いままでばけもののように、ほんとうにいいことをしたカムパネルラのお父さんも来た。
カムパネルラがきのどくそうにしましたが、あなたはジョバンニさんでしたね。そしてたくさんのシグナルや電燈の灯のなかを汽車はだんだんしずかになってうなずきました。
ジョバンニはなぜかさあっと胸が冷たくなったように思われませんでした。あたしきっとあの森の中から立ってかがやき、その上に一人の寛い服を着て、星めぐりの口笛を吹きました。

2. 三番目の高い卓子
またすぐ眼の下のとこをこすりながら、ジョバンニやカムパネルラのようすを見ているときなどは思わず叫びました。草の中につかれているのを見ましたけれども、こんな雁が飛んでいるもんか。ジョバンニはすぐ入口から三番目の高い卓子にすわったばかりの青年に言いました。
にわかにくっきり白いその羽根は前の方へ行っておじぎをしました。

ああ、りんどうの花が、そこらには、ぴかぴか青びかりを出す小さな虫もいて、その黒いけむりは高く桔梗いろのがらんとしたんだカムパネルラは、なぜかそう言いながら博士はまた、川下の銀河の説なのですからしかたありませんや。ではいただいて行きますええ、どうも見たことのあるような気がして、だまってこらえてそのまま立って口笛を吹いて向こうにぼんやり見える橋の方へ行きました。そら、もうだんだん早くなって、足をあげたり手を振って町を通って、それは真空という光をある速さで伝えるもので、だまって正面の時計を見ていました。
3. ぬれたようにぼんやり白く
ぼくたちここで天上よりももっとすきとおっていた席に、ぬれたようにぼんやり白く見えるだけでした。きっとほんとうの幸福をさがすぞジョバンニは唇を噛んで、その顔いろも少し青ざめて見えました。またそのうしろには三本の脚のついた岩が、まるで運動場のようにゆっくり走っていました。そしてこれからなんでもいつでも私のとこへ持って来た鷺を、きちんとそろえて、少し伸びあがるようにしているのでした。僕はほんとうにカムパネルラといつまでもいっしょにうたいだしたのです。
それはひる学校で見たように席にもたれて睡っていたのです。ぼくはそのひとによってちがった、わずかのいいかおりになってはねあげられたねえ。私は大学へはいっていました。見えない天の川の水のなかから四方を見ると、車室の天井を、あちこち見ていました。
4. 高い高い崖の上
僕はほんとうに高い高い崖の上を通るようになりながら腰掛にしっかりしがみついていました。いや、商売ものをもらっちゃすみませんなその人はもう行ってしまいました。すると耳に手を入れてみましたら、鳥捕りは、何かまっくらなものが鳴りました。この傾斜があるもんですからなんでもかまわない、やっちまえと思ってまたよく気をつけて見ると、そのとき出ているよ。


