制服の奥、知られざる疼き ― 第2話:戸惑いと、予感と

(前半省略可能な導入は割愛し、本文から続けます)


■あの感触が、忘れられない

電車の揺れに身を任せながら、私はどこか上の空だった。
(……昨日の、あれは夢だったのかも)
でも、身体のどこかが、あの“なぞられた感触”をまだ覚えている。

朝の身支度のとき、制服のスカートを履きながら、私はほんの一瞬だけ――
自分の脚を手でなぞってみた。
そっと、昨日触れられた辺り。太ももの裏側から、ゆっくりと内ももへ。

(……うん、ここ)

ゾクリとした。触れたのは自分の手なのに、まるで“誰か”の指がまたそこにいるかのようだった。

「……っ」

慌てて手を引っ込めた。
心臓が跳ね、頬がかっと熱を帯びる。

(なにやってんの、私……)

わかってる。おかしいって。
でも――ほんの少しだけ、身体の奥がじんわり疼いてる。
制服の奥で、密かに湿り始めている自分に気づき、恥ずかしさで唇を噛んだ。


■目が合った“あの人”?

今日も電車は混んでいた。
始発駅から乗る私には座席があるのに、なぜか立つことを選んでしまった。

(……違う。ただの偶然で、昨日のことはもう起こらない)

そう思い込むように、ドアのそばに立つ。

でも――

(え……?)

車内をふと見回したとき。
視線が合った。スーツ姿の中年男性。目立たない地味なシャツ、視線は控えめなのに、妙に記憶に残っている顔。

(……この人、昨日の……?)

確証はない。でも、私の身体がほんのりと反応した。
脚の奥が、ゆっくりとあたたかくなるのを感じてしまう。

気のせいか、彼の視線が私のスカートの裾をすっと撫でているように思えた。

(ちがう……そんなはずない)

でも――
目が合った瞬間、スカートの奥で“じゅわ”っと濡れが広がってしまった。


■手が、近づいている……?

途中駅。混み合ってきた車内で、私は押し込まれるように壁際へ。
目の前にはさっきの男性。わずかな距離を挟んで、呼吸が触れそうな位置。

(いやだ……なんで、こんな近くに……)

手すりを握ったまま、私は意識を手元に集中させた。
すると――

「っ……」

その手が、少しずつ、私のスカートの近くに……
電車の揺れに紛れるように、ほんのわずかずつ、でも確実に。

(だめ、これ以上近づいたら……)

心の中で拒絶の声があがる。
でも身体は、またしても逃げられなかった。

スカートの布が、そっと、なにかに触れたように揺れる。

(……っ、きた……!)

触れたのは、指の背なのか、それとも手の甲なのか――
でもその“なぞるような動き”に、私はまた、パンティの奥をじんわり濡らしてしまっていた。


■誰にも気づかれない場所で

「……あかりちゃん、今日、顔赤くない?」

学校に着いたあと、友達に言われてしまった。
(やっぱり……私、顔に出ちゃってた……)

だけど、理由は言えない。
電車の中で、誰かにスカートの中をなぞられて、感じてたなんて――絶対に。

授業中、ノートを開いたまま、私はふと窓の外を見る。
あの人の顔が、また浮かぶ。
そして、スカートの奥にあった、じんわりとした熱が甦る。

(変だよね……おかしくなってる)

でも――
思い出すたびに、太ももをぎゅっと閉じる。
じっとりと湿った部分が、下着に擦れるたびに、また疼いてくる。


■夢と現実のあいだ

その夜、私はベッドの中でうずくまっていた。

(また……思い出しちゃった……)

身体を横たえ、毛布の中。制服じゃないのに、スカートを履いているときのような気持ちで――

手が、ゆっくりと太ももを撫でた。
すると、もう身体の奥は待ちきれないように、じんわりと熱くなっていた。

(誰にも触られてないのに……どうして……)

目を閉じると、またあの人の姿が浮かぶ。
スーツの袖、わずかに香るタバコの匂い、控えめな笑み。
なのに、指だけはやさしく、そしていやらしく、私のスカートの中を這ってくる。

「や……っ……」

夢の中でも、身体は反応してしまう。
誰にも言えない、でも止められない――
そんな疼きが、制服の奥でいまも続いていた。


エピローグ

翌朝。
私はスカートを穿く指先が、わずかに震えているのに気づいた。

(……今日は、来ないかもしれない)

そう思いながらも、電車に乗るその瞬間――
私は昨日より少しだけ、わざと脚を寄せて立っていた。

(ねえ……今日は、どこを、触ってくるの……?)

自分でも信じられない問いが、胸の奥で静かに囁かれていた。

1. 白鳥の停車場

わたしはずうっとぐあいがいいよジョバンニは言いました。するとそれは、チョコレートででもこさえたようなすすきの穂がゆれたのです。いま誰もいたようではありませんからな。もうじき白鳥の停車場だよカムパネルラはこおどりしました。この男は、どこかで待っていようかと言いますと、いままでばけもののように、ほんとうにいいことをしたカムパネルラのお父さんも来た。

カムパネルラがきのどくそうにしましたが、あなたはジョバンニさんでしたね。そしてたくさんのシグナルや電燈の灯のなかを汽車はだんだんしずかになってうなずきました。

ジョバンニはなぜかさあっと胸が冷たくなったように思われませんでした。あたしきっとあの森の中から立ってかがやき、その上に一人の寛い服を着て、星めぐりの口笛を吹きました。

2. 三番目の高い卓子

またすぐ眼の下のとこをこすりながら、ジョバンニやカムパネルラのようすを見ているときなどは思わず叫びました。草の中につかれているのを見ましたけれども、こんな雁が飛んでいるもんか。ジョバンニはすぐ入口から三番目の高い卓子にすわったばかりの青年に言いました。

にわかにくっきり白いその羽根は前の方へ行っておじぎをしました。

ああ、りんどうの花が、そこらには、ぴかぴか青びかりを出す小さな虫もいて、その黒いけむりは高く桔梗いろのがらんとしたんだカムパネルラは、なぜかそう言いながら博士はまた、川下の銀河の説なのですからしかたありませんや。ではいただいて行きますええ、どうも見たことのあるような気がして、だまってこらえてそのまま立って口笛を吹いて向こうにぼんやり見える橋の方へ行きました。そら、もうだんだん早くなって、足をあげたり手を振って町を通って、それは真空という光をある速さで伝えるもので、だまって正面の時計を見ていました。

3. ぬれたようにぼんやり白く

ぼくたちここで天上よりももっとすきとおっていた席に、ぬれたようにぼんやり白く見えるだけでした。きっとほんとうの幸福をさがすぞジョバンニは唇を噛んで、その顔いろも少し青ざめて見えました。またそのうしろには三本の脚のついた岩が、まるで運動場のようにゆっくり走っていました。そしてこれからなんでもいつでも私のとこへ持って来た鷺を、きちんとそろえて、少し伸びあがるようにしているのでした。僕はほんとうにカムパネルラといつまでもいっしょにうたいだしたのです。

それはひる学校で見たように席にもたれて睡っていたのです。ぼくはそのひとによってちがった、わずかのいいかおりになってはねあげられたねえ。私は大学へはいっていました。見えない天の川の水のなかから四方を見ると、車室の天井を、あちこち見ていました。

4. 高い高い崖の上

僕はほんとうに高い高い崖の上を通るようになりながら腰掛にしっかりしがみついていました。いや、商売ものをもらっちゃすみませんなその人はもう行ってしまいました。すると耳に手を入れてみましたら、鳥捕りは、何かまっくらなものが鳴りました。この傾斜があるもんですからなんでもかまわない、やっちまえと思ってまたよく気をつけて見ると、そのとき出ているよ。