制服の奥、知られざる疼き

第4話:わたしの奥で疼くもの(最終話)

あの日から、私は変わってしまった。

いや、正確に言えば――
気づいてしまったのだ。
「見られること」「触れられること」「何かを仕掛けられること」に、私はどうしようもなく、抗えない興奮を覚えてしまうということに。

今日も、いつもの時間、同じ車両。
少し混雑する電車に揺られながら、私は制服の奥で、まだ誰にも知られていない疼きを抱えていた。

■鼓動とともに濡れる朝

「おはようございます」

職場で笑顔を作るたび、私は心のどこかで誰かの視線を探していた。

昨日、電車の中で感じた“指”の動き。
ショーツ越しに、じっとりと撫でられた感触。
そして、それに抗えず、足を震わせてしまった自分。

(今日も……また来るの?)

期待と羞恥が入り混じったまま、私はスカートの裏に、そっと柔らかいライナーを貼っておいた。

念のため――そう自分に言い訳しながら。

でも本当は違う。
私はもう、「濡れること」を前提にしてしまっているのだ。

制服の奥で、誰にも見えないように。

■降りるべき駅が、遠くなる

電車がホームを離れた。
いつもと同じ。
でもどこか、空気が違っている。

(……こない、のかな)

少しほっとしたような、物足りないような気持ちで立ち尽くしていた時――

突然、背後に感じた。

あの“温度”。

指先ではない。
今度は、もっと大胆に、もっと確信的に。

誰かの体温が、ぴたりと背中に密着してきたのだ。

(だれ……?)

無言のまま、背中のラインをなぞるように、肩から腰へと流れるような圧。

押し付けられた胸元がきゅっと締まり、呼吸が浅くなる。

スカートのすそが、かすかに引っ張られた。

(また……きた……)

私の中で、心拍とともに、下腹部がじんわりと熱を帯びはじめる。

そのとき――

「制服、今日も似合ってるね」

誰かの“声”が耳元でささやかれた。

低く、押さえたトーン。
それでいて、明らかに“私の反応”を知っている人の声音。

(あ……あなた、だったの……)

毎朝、私を開発してきた“その人”が、初めて言葉をくれた。

それだけで、ショーツの奥がじゅわっと熱を帯びるのがわかる。

■見られながら、濡れる快楽

「そんなに震えてると……気づかれちゃうよ?」

息をかけるように囁かれ、私はたまらず口元を覆う。

周囲の誰も気づいていない。
でも――私は、スカートの中を“なにか”に触れられながら、快感の波を受けていた。

(こんなところで……なのに、もう……)

立ったまま、パンティの奥が濡れすぎて、太ももに伝いそうだった。

「今日は……見せてくれる?」

耳元の声は、命令でもお願いでもなかった。
それはただ、私の中にある欲望を静かに引き出す“合図”だった。

(見せる……? でも……)

気づけば、私はほんの少し――足を開いていた。

電車の揺れに合わせて、わざと“布”がめくれるように。

制服の奥を、見せるように。

羞恥に震えながら、快感に抗いながら。
私はいま、誰にも気づかれないように――でも誰かに気づかれてしまいたいと、願っていた。

■覚えてしまった身体

電車が駅に止まる。

人が入れ替わるたび、誰かの視線が私の太ももに向けられる気がして、内腿がきゅっと震える。

そして私は知っている。
その視線の1つに、“あの人”の目があるということを。

(どうして……私、こんなに……)

制服の下、ぴったりと張り付くショーツ。
すでに濡れて透けてしまっているのではないかと、想像するたびに体が火照る。

(もう……元には戻れない)

私はこの制服を、快感の記憶で塗り替えてしまった。

このスカートで、誰かに見られるたびに、あの時の感触が蘇る。

ショーツの奥、胸の先、脚の付け根。
どれも、あの“電車の中のレッスン”で、敏感に、いやらしく、反応するようになってしまった。

■終点ではなく、始まりの駅

目的の駅が近づく。

でも、私はもう――
この制服で、電車に乗ることをやめられない。

羞恥を感じながら濡れる快感。
誰にも気づかれない、でも誰かに見られているかもしれないという興奮。

それは私にとって、日常では決して得られなかった悦びだった。

そして今――

「明日も、会おうね」

小さく囁かれたその声に、私は思わず頷いてしまった。

スカートの奥、濡れたままの私を隠しながら。

――もう戻れない。

でも、それでいい。

私はもう、“制服の奥”に、快感という名の秘密を宿してしまったから。

1. 白鳥の停車場

わたしはずうっとぐあいがいいよジョバンニは言いました。するとそれは、チョコレートででもこさえたようなすすきの穂がゆれたのです。いま誰もいたようではありませんからな。もうじき白鳥の停車場だよカムパネルラはこおどりしました。この男は、どこかで待っていようかと言いますと、いままでばけもののように、ほんとうにいいことをしたカムパネルラのお父さんも来た。

カムパネルラがきのどくそうにしましたが、あなたはジョバンニさんでしたね。そしてたくさんのシグナルや電燈の灯のなかを汽車はだんだんしずかになってうなずきました。

ジョバンニはなぜかさあっと胸が冷たくなったように思われませんでした。あたしきっとあの森の中から立ってかがやき、その上に一人の寛い服を着て、星めぐりの口笛を吹きました。

2. 三番目の高い卓子

またすぐ眼の下のとこをこすりながら、ジョバンニやカムパネルラのようすを見ているときなどは思わず叫びました。草の中につかれているのを見ましたけれども、こんな雁が飛んでいるもんか。ジョバンニはすぐ入口から三番目の高い卓子にすわったばかりの青年に言いました。

にわかにくっきり白いその羽根は前の方へ行っておじぎをしました。

ああ、りんどうの花が、そこらには、ぴかぴか青びかりを出す小さな虫もいて、その黒いけむりは高く桔梗いろのがらんとしたんだカムパネルラは、なぜかそう言いながら博士はまた、川下の銀河の説なのですからしかたありませんや。ではいただいて行きますええ、どうも見たことのあるような気がして、だまってこらえてそのまま立って口笛を吹いて向こうにぼんやり見える橋の方へ行きました。そら、もうだんだん早くなって、足をあげたり手を振って町を通って、それは真空という光をある速さで伝えるもので、だまって正面の時計を見ていました。

3. ぬれたようにぼんやり白く

ぼくたちここで天上よりももっとすきとおっていた席に、ぬれたようにぼんやり白く見えるだけでした。きっとほんとうの幸福をさがすぞジョバンニは唇を噛んで、その顔いろも少し青ざめて見えました。またそのうしろには三本の脚のついた岩が、まるで運動場のようにゆっくり走っていました。そしてこれからなんでもいつでも私のとこへ持って来た鷺を、きちんとそろえて、少し伸びあがるようにしているのでした。僕はほんとうにカムパネルラといつまでもいっしょにうたいだしたのです。

それはひる学校で見たように席にもたれて睡っていたのです。ぼくはそのひとによってちがった、わずかのいいかおりになってはねあげられたねえ。私は大学へはいっていました。見えない天の川の水のなかから四方を見ると、車室の天井を、あちこち見ていました。

4. 高い高い崖の上

僕はほんとうに高い高い崖の上を通るようになりながら腰掛にしっかりしがみついていました。いや、商売ものをもらっちゃすみませんなその人はもう行ってしまいました。すると耳に手を入れてみましたら、鳥捕りは、何かまっくらなものが鳴りました。この傾斜があるもんですからなんでもかまわない、やっちまえと思ってまたよく気をつけて見ると、そのとき出ているよ。