第2話 エロおやじの手ほどき|「視線の意識と羞恥の芽生え」
瑠菜はライブチャットを終えたあとも、身体の芯に残ったかすかな疼きに戸惑っていた。
大学の講義中でも、ふとした瞬間に昨日の八田の優しい声が耳元によみがえる。
「……自分で触れてみると、“知らなかった自分”が見つかるかもしれないよ」
その言葉を思い出すたびに、頬が熱くなり、胸元に手を当てそうになって慌てて周囲を見渡す。
(だめだ、こんなんじゃ……集中できない……)
しかし、戸惑いとは裏腹に、瑠菜の心のどこかで、あの恥ずかしい時間が待ち遠しくなり始めている自分がいた。
そして夜が訪れ、瑠菜は再び部屋の明かりを落とし、ライブチャットへとログインする。
「こんばんは、瑠菜ちゃん。また来てくれて嬉しいよ」
画面越しの八田の声は、昨日よりもずっと親密で、瑠菜の身体の中にそっと沁みこんでいく。
「こんばんは……」
小さく返事をすると、画面の向こうから優しく質問が届く。
「昨日のこと、覚えてる? 自分の身体に触れて、どんな気持ちになったか……」
その言葉に、瑠菜の頬がみるみる赤くなる。
「……覚えてます。なんだか、変な感じで……」
「今日はね、少しだけステップアップしてみようか」
「ステップアップ、ですか……?」
八田は穏やかに説明を始めた。
「昨日は、自分で触れてもらったけど……今日は画面の向こうの“視線”を意識してみよう」
「視線……?」
「そう。僕が君を見てる。君がどんな表情をするのか、どんなふうに身体が反応するのか……その視線を感じながら、自分を少しずつ確かめてみるんだ」
「……恥ずかしい……」
瑠菜の小さな呟きに、八田は柔らかく笑った。
「その“恥ずかしさ”が、とても大切なんだよ。恥ずかしいと感じることが、君自身を開いていく鍵になるからね」
瑠菜は画面の向こうの視線を意識しながら、昨日と同じようにそっと自分の胸元へ指先を伸ばした。
「うん……そう、いいよ。ゆっくり……」
声に導かれるまま、瑠菜は自分の乳房を優しく撫でる。昨日よりも敏感になった感覚が、彼女の中でじわりと広がる。
「……あっ……」
無意識に小さな声が漏れると、恥ずかしくなって思わず顔を背けそうになる。
「恥ずかしい?」
「……はい、すごく……」
「でも、その恥ずかしさが気持ちよさに変わり始めてるんじゃないかな?」
「……それは……」
図星を指され、瑠菜は言葉に詰まった。事実、恥ずかしいはずなのに、身体は昨日よりずっと素直に反応している。
「瑠菜ちゃん、もう少しだけ服をずらして、素肌に触れてみようか」
ためらいつつも、彼女はルームウェアを肩から少しだけずらし、肌を露出させる。視線を強く意識することで、心臓の鼓動が一気に早まる。
指が直接肌に触れると、ぞくりと背筋に甘い痺れが走った。
「どう? 素肌に触れるのはまた違うでしょう?」
「……はい……すごく敏感で……」
「それはね、瑠菜ちゃんが開き始めている証拠。もっと自分を感じてみよう」
八田の導きのままに指を動かし、徐々に感覚に飲まれていく。
(見られてる……八田さんに、私のこんな姿……)
恥ずかしさと背徳感が交じり合い、瑠菜の中で新しい快感が芽生え始めていた。
「瑠菜ちゃん、今日はここまでにしよう。次はもう少し深いところを探してみようね」
瑠菜は小さく頷き、震える指を離した。視線に晒されることの甘い刺激が、彼女を確実に変えつつあることにまだ気づいていなかった。

