第5話 覗かれる快感|「“見られる私”の目覚め」
──五度目の夜。羞恥と快感は、境界線を越えていた。
第一章 誰にも言えない準備
(……どうして、こんなもの……)
ことねは、自分のデスクに座りながら、手の中の小さな吸引グッズを見つめた。
ピンク色のかわいらしい形。でもそれが何のための道具なのか、身体はもうよく知っていた。
(……だって、あのとき……“吸われた”だけで、頭が真っ白になった……)
羞恥に耐えかねて、ベッドに投げようとした手は止まり、代わりにそれをそっと膝の上に置いた。
パソコンの前に座る。
薄暗くした部屋、胸元のボタンを一つだけ外し、スカートの下は……何も履いていなかった。
(私……どうなっちゃってるの……?)
でも、もう戻れない。
ピロン。
『はやとさんが入室しました』
『こんばんは、ことねさん。お元気そうで、安心しました』
「こんばんは……今日も、お話できてうれしいです」
画面越しのはやとは、変わらず穏やかで、優しかった。
(この人の前で……私、今……なにも、つけてない……)
胸の内側が、静かにざわつき始める。
──チリン。
『よこっち(のぞきモード)まいどー♡ ん? ことねちゃん、今日なんか……空気ちがくない?』
ことねの指が、わずかに膝を握る。
第二章 悪戯はじわじわと
《よこっち》『なになに?今日はノーパンですか?それとも……“吸われたい”気分?』
「っ……」
一瞬で呼吸が詰まった。
(なんで、わかるの……?)
『ことねさん、今日もお綺麗ですね。雰囲気がいつもより柔らかいような……』
はやとは何も知らない。
けれど、ことねは下半身にそっと手を伸ばし、小さな吸引器具を指でそっと摘んだ。
(つけちゃ……だめ……なのに)
《よこっち》『ねぇ、ことねちゃん。そのおもちゃ、ちゃんと奥に密着させて。吸われてる音……俺だけに聞かせて♡』
羞恥で全身が熱くなる。
それでも、ことねはスカートの中へ指を入れ、そっと吸う位置に機器を押し当てる。
「……っ……あっ……」
布一枚も挟まない。粘膜が、キュウ、と吸われてひくつく。
『どうしました?いま、声が震えたような……』
「い、いえ……椅子が冷たくて……」
《よこっち》『ウソ下手か♡ 乳首も、たぶんビンビンなんでしょ? シャツ越しに軽く転がしてさ、吸われてるのとどっちが敏感か、試して?』
ことねは、胸元のボタンをそっと緩め、ブラの中に指を滑り込ませた。
ぷくりと立った乳首に触れた瞬間、吸われている下と同時に震える。
(なんで……乳首まで、反応して……)
「……んっ……あっ……」
『ことねさん、本当に大丈夫ですか? 少し、顔色が赤く見えるような……』
「だ、だいじょうぶです……お話、すごく楽しいから……」
《よこっち》『楽しいって、どっちのこと?俺との変態ごっこ?それとも、優しいお兄さんに褒められて“見られてる”って実感するやつ?』
もう、分からなかった。
快感に包まれて、乳首も、脚の間も、ぐしょぐしょに濡れていた。
スカートの奥では、吸引器がピタリと吸い付き、小刻みに震えを与えている。
はやとの視線。
よこっちの言葉。
そして、自分自身の指。
すべてが重なり、ことねは震える声を吐き出した。
「……わ、たし……見られて……すごく……」
吸引が、ぴちゃ……と音を立てた。
「……気持ちいい……の……」
画面の奥、誰にも言えない秘密が、ついにことねの口からこぼれ落ちた。
『ことねさん……?』
《よこっち》『はい、出ました♡ 最高の告白いただきました〜』
もう、“見られる”ことは、ことねの新しい扉だった。
1. 白鳥の停車場
わたしはずうっとぐあいがいいよジョバンニは言いました。するとそれは、チョコレートででもこさえたようなすすきの穂がゆれたのです。いま誰もいたようではありませんからな。もうじき白鳥の停車場だよカムパネルラはこおどりしました。この男は、どこかで待っていようかと言いますと、いままでばけもののように、ほんとうにいいことをしたカムパネルラのお父さんも来た。
カムパネルラがきのどくそうにしましたが、あなたはジョバンニさんでしたね。そしてたくさんのシグナルや電燈の灯のなかを汽車はだんだんしずかになってうなずきました。
ジョバンニはなぜかさあっと胸が冷たくなったように思われませんでした。あたしきっとあの森の中から立ってかがやき、その上に一人の寛い服を着て、星めぐりの口笛を吹きました。

2. 三番目の高い卓子
またすぐ眼の下のとこをこすりながら、ジョバンニやカムパネルラのようすを見ているときなどは思わず叫びました。草の中につかれているのを見ましたけれども、こんな雁が飛んでいるもんか。ジョバンニはすぐ入口から三番目の高い卓子にすわったばかりの青年に言いました。
にわかにくっきり白いその羽根は前の方へ行っておじぎをしました。

ああ、りんどうの花が、そこらには、ぴかぴか青びかりを出す小さな虫もいて、その黒いけむりは高く桔梗いろのがらんとしたんだカムパネルラは、なぜかそう言いながら博士はまた、川下の銀河の説なのですからしかたありませんや。ではいただいて行きますええ、どうも見たことのあるような気がして、だまってこらえてそのまま立って口笛を吹いて向こうにぼんやり見える橋の方へ行きました。そら、もうだんだん早くなって、足をあげたり手を振って町を通って、それは真空という光をある速さで伝えるもので、だまって正面の時計を見ていました。
3. ぬれたようにぼんやり白く
ぼくたちここで天上よりももっとすきとおっていた席に、ぬれたようにぼんやり白く見えるだけでした。きっとほんとうの幸福をさがすぞジョバンニは唇を噛んで、その顔いろも少し青ざめて見えました。またそのうしろには三本の脚のついた岩が、まるで運動場のようにゆっくり走っていました。そしてこれからなんでもいつでも私のとこへ持って来た鷺を、きちんとそろえて、少し伸びあがるようにしているのでした。僕はほんとうにカムパネルラといつまでもいっしょにうたいだしたのです。
それはひる学校で見たように席にもたれて睡っていたのです。ぼくはそのひとによってちがった、わずかのいいかおりになってはねあげられたねえ。私は大学へはいっていました。見えない天の川の水のなかから四方を見ると、車室の天井を、あちこち見ていました。
4. 高い高い崖の上
僕はほんとうに高い高い崖の上を通るようになりながら腰掛にしっかりしがみついていました。いや、商売ものをもらっちゃすみませんなその人はもう行ってしまいました。すると耳に手を入れてみましたら、鳥捕りは、何かまっくらなものが鳴りました。この傾斜があるもんですからなんでもかまわない、やっちまえと思ってまたよく気をつけて見ると、そのとき出ているよ。


