第5話 覗きチャット|焦らしの競演、痴漢テクニシャンの罠
「こんばんは。今夜は、特別に……ふたり、来てるみたいだね」
ライブチャットの通知が、いつもより多めに鳴った。 いつもの“覗きさん”だけじゃない。新たなユーザーが加わっていた。
──しかも、そのメッセージが、異常に巧みで……ねっとりと、いやらしい。
メインさんとの穏やかなやりとり
「こんばんは。今日は調子どう?」
画面の向こう、メインさんがやわらかく微笑む。 心がすっと落ち着く、いつもの安定したやさしい声。
「うん、大丈夫。ちょっと疲れてるけど、メインさんの声聞くと安心する」
「そっか。じゃあ、今日はゆっくり話そう。最近仕事どう? 朝の電車はまだ混んでる?」
「うん……すごく混んでる。息が詰まりそうなくらい」
「そうだよね。君みたいな華奢な子が押し込まれてるの、想像するだけで心配になるよ」
……やさしい。 だけど、そんな会話の最中にも、画面の下で“覗きさん”と“もう一人”の通知が交互に点滅していた。
覗きテクニシャンの焦らし
《スカート、今日も短いね。朝の満員電車で、後ろにいたおじさんの手、君の太もも触れてたよね》
《ブラウスの中、ボタン一つ足りないみたい。ちょっと屈んだら……全部、見えちゃうかも》
背筋がぞわりと震える。 メインさんと会話してる間に、そんなメッセージを連投してくる覗きさん。
──でもそれ以上に、もう一人の“覗きテクニシャン”は……
《吸うやつ、今ちょっとだけ弱めにしてみた。どう?……じんじん、疼いてる?》
《次は、吸ってから一拍おいて、ちょっと舌で転がすみたいに揺らすよ。想像して……自分の中が、反応してるのを》
(ダメ……なにこれ……すごく……)
言葉ではない。指で触れられたわけでもない。 なのに、スカートの中、太ももの奥の敏感な場所が、ぞくぞくと熱を持ち始める。
メインさんとの会話が遠くなる
「それでね、今度会社でちょっとしたプロジェクトがあって……あれ? 大丈夫? 顔赤いよ?」
「えっ……? あ、ううん。だいじょうぶ、ちょっと……室温かな」
「無理しないでね。ちょっと休憩する?」
(ダメ……ダメ……ちゃんと話を聞きたいのに……)
でも、画面の下では容赦なく、ふたりの覗きたちが、快楽の罠を編み続けていた。
痴漢テクニシャンの執拗な攻め
《ストッキングの中、指入れてみようか。いや、違う……爪を立てずに、指の腹で、ゆっくり撫でる》
《吸うやつ、今度は音が鳴らないギリギリの強さで……じわじわと吸って、離さないように》
《君の中、反応してるの、画面越しでも分かる。脚、閉じられなくなってきてるよね》
(どうして……こんなに……感じて……)
リモートのおもちゃは、完全にわたしの反応をトレースしていた。 ちょうど言葉が詰まるタイミングで、吸引が強くなり、 メインさんの質問のあとで、執拗な焦らしがくる。
それが、まるで“見えている”かのように。
メインさんには、気づかれたくない
「なんか、今日はいつもと少し違う感じするね。……緊張してる?」
「……ちょっとだけ、かも」
「そっか。じゃあ、深呼吸して……ゆっくりね」
メインさんの声が、遠くの灯のようにやさしく響く。 でもその手前で、ふたりの“覗き”が、ねっとりと淫らにわたしを包み込んでくる。
《下着の縁、いま……ちょっと濡れてきたよね? わかる? それ、自分じゃない。僕たちが、させてるんだよ》
《メインさんに見せてあげたいな。その表情。ぎりぎりで隠してる、感じてる顔》
もう、わたしの中は真っ白
(メインさんの声が、聞こえてる……のに……)
返事をしようとしても、言葉が浮かばない。 足を閉じたまま、でも太ももの内側から、熱が上がってくる。
おもちゃが、呼吸に合わせて律動し、 覗きたちの言葉が、そのたびに波のように意識を侵してくる。
(だめ……もう……)
返事をしたくても、言葉にならない。 画面の前でわたしは、ただ微笑むことしかできなかった。
「……君、今、とても綺麗だよ」
メインさんの言葉が、最後の糸のようにわたしをつないでいた。 でもその裏側で、のぞきのふたりは、わたしの“なか”に深く入り込んでいた。
チャットを切ったあと。
まだ太ももが震えていた。 下着はぐっしょりと濡れて、リモートのおもちゃは……まだわずかに余韻の吸引を続けている。
《またね。次は……もっと深くまで、焦らしてあげる》
《君の反応、すごく……淫らで綺麗だった。次も楽しみにしてる》
ふたりのメッセージが、最後に重なる。
わたしは画面を閉じながら、ふとももを押さえ、じっと呼吸を整えるしかなかった。
(次も……また、同じ時間に、来てしまうんだろうな)
そんな予感が、確かな熱を帯びて、わたしの“中”に残っていた。

