第5話 美羽と覗きの秘密|スーツの奥、熱を宿す

■リクルートスーツのリクエスト

「こんばんは、美羽ちゃん。今日は……就活帰り?」

チャットルームにログインするやいなや、真っ先に声をかけてきたのは、高森という名前の新しいビューワーだった。

今日の私の服装は、シンプルな黒のリクルートスーツ。白いシャツに、タイトなスカート。ボタンを一つ外しただけで、首筋が露わになり、どこか“隙”のある雰囲気が出てしまっていた。

(こんな格好……やっぱり、ちょっと恥ずかしい)

実は、昨日の夜、高森さんという人からDMが届いていた。

『スーツ姿の美羽さんが見たいです。真面目な中にあるギャップに、とても惹かれます』

という、丁寧だけど、どこか熱のある文章だった。

普段なら断るところだったけれど――
(八田さんも、見てるかもしれない……)

ふとそんな考えがよぎって、つい「やってみます」と返信してしまった。


■悠人くんの声が、なにより安心できた

「……こんばんは、悠人くん」

ログインして間もなく、彼のアカウントがチャットルームに入ってくる。見慣れた優しい名前に、肩の力がふっと抜ける。

「美羽ちゃん、その格好……なんだか新鮮だね。少し緊張してる?」

(やっぱり……ちょっと変だったかな)

でも、悠人くんの声は相変わらず穏やかで、見た目に驚きはしていても、揶揄するようなそぶりは一切なかった。

「スーツ、似合ってるよ。美羽ちゃんって、何を着てもどこか“柔らかい”感じがするよね」

そう言って笑ってくれるだけで、私の中の不安がじんわりと溶けていく。

(うん……やっぱり、悠人くんの声って、心が安心する……)


■八田さんの“気配”と、高森さんの焦らし

その直後、コメント欄に現れた、ひとつのアイコン。

《🕶 h_hatta:スーツのシャツ、少しシワになってるのがエロいね……指で直してごらん? 胸のあたり、そっとなぞるように》

(やだ……もう、来てたんだ……八田さん)

心の中に、じわりと焦りと熱が混ざる。

続けて、

《🎩 t_takamori:白いシャツの透け感、たまらないです……ボタン、一つだけ外してみてください。リクルートだけど、ちょっとだけ崩して》

(そんなの……バレちゃいそうなのに……)

でも、彼らの言葉を拒むことはできなかった。
胸元に手をやり、指でボタンをひとつだけ、そっと外す。

すると、わずかに覗いた肌に、チャット欄がざわついた。

《🕶 h_hatta:そう、そういうの……もっと自分のこと、見せていいんだよ》

《🎩 t_takamori:そのまま、ネクタイしても似合いそうだな……汗ばんだ首元、見たい》

恥ずかしさと快感が入り混じる中、私はほんの少し首をかしげて、手で髪を整えるふりをしながら、胸元を指で軽くなぞった。

(こんなふうに……見られてるって、わかってるのに……)


■悠人くんとの“会話”

「……あ、美羽ちゃん、今すごく綺麗だよ」

悠人くんの声が、スピーカーから静かに流れてくる。

「今日、ちょっと元気なさそうだったけど……何かあったの?」

「ううん、ちがうの。ただ、ちょっと……いつもより、緊張してるだけ」

私は震えそうな声で答える。

「そういう時はさ、無理しなくていいよ。僕、美羽ちゃんの言葉が聞けるだけで嬉しいし」

――その言葉は、心に染みるように温かかった。

けれど、その裏でチャット欄では――

《🕶 h_hatta:スカートの裾、少しだけ引っ張って。脚を揃えて見せて》

《🎩 t_takamori:タイトスカートが突っ張る感じ、エロすぎます……椅子に座って、ちょっとだけ脚を開いてみて》

私は、悠人くんの声に返事をしながら、こっそりと脚を揃え、椅子に座る。

そして……ゆっくり、ほんの少しだけ、脚を開いた。

(わたし……何してるの……?)


■身体の反応が止まらない

スカートの中、太ももの内側を汗が伝う。
何もされていないのに、ショーツがじんわりと湿っていくのがわかる。

《🕶 h_hatta:美羽ちゃん、今……濡れてるよね? 感じてるよね?》

その文字列が、まるで直接耳元で囁かれたように感じてしまって――

「……んっ」

思わず、短く、喉の奥で息を漏らしてしまった。

「美羽ちゃん、大丈夫?」

「う、うんっ……だいじょうぶ。ちょっと……喉が渇いただけ」

平然を装いながら、手元のペットボトルに口をつけた。

だが、胸の奥では――
羞恥と興奮がせめぎ合い、脈拍が早まっていた。


■視線の奥で

《🎩 t_takamori:美羽さんのシャツ、汗で透けてます……下着、白?》

《🕶 h_hatta:透けたブラのライン……ほんと、我慢できない。自分でも触りたいでしょ?》

言葉が、どんどん淫らになっていく。

だが、悠人くんは――

「……ねえ、美羽ちゃん。僕、少しずつだけど、君ともっと話したいなって思ってる」

「わたしも……そう思ってる」

本音だった。
こんなふうに弄ばれながらも、彼の言葉だけは、私の心を真っ直ぐ貫いていた。

(どうして、こんなにも……)

身体は、別の刺激に翻弄されながら、心はただ悠人くんのことを求めていた。


■エピローグ:スーツの奥に隠された秘密

その日の配信が終わった後、私は一人ベッドに倒れ込んだ。

リクルートスーツのシャツは、じっとりと湿り、ブラの内側もすっかり濡れていた。

(わたし、今日……感じっぱなしだった……)

高森さんの言葉。八田さんの煽り。
そして、悠人くんの優しさ。

その全てが、今の私をつくっている。

誰にも知られない、でもやめられない。
スーツの奥に隠された快感が、私を、少しずつ、違う世界へと連れていこうとしていた。